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『キン肉マン外伝・ベンキマン 〜失われたインカの記憶〜』を読んで

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この話は人気投票で29位を獲得した超人・ベンキマンの誕生秘話という位置づけのキン肉マン外伝まんがとなっている。
ギャグテイストの栄光譚ではあるが、残虐超人への一歩を踏み出す話でもあり、どこか悲劇的な含みをもっているように思える。

★巨大なハチドリ
ハチドリの地上絵を腰布としている超人・ヒガンテ(大巨人)マン。
この「小さな動物を表した巨大な絵」が、ヒガンテマンという超人の運命のすべてを物語っている。

かつてベンキマンを記憶喪失に陥らせたヒガンテマンの先祖(と思われる)は、ピサロ軍の一兵士であった。
超人に匹敵する力を持ちながら権力に従い、名を残すことなく生涯を終えた先祖。
そしてヒガンテマン自身はその裏返しとして、大統領となることで権力を自ら体現しようとする。

富と権力の甘い蜜に誘われたヒガンテマンは、ついに先祖も手を付けなかった禁断の領域・ナスカの地上絵の征服を企む。
そしてあと一歩というところで口に含んだソフトクリームはウンチに豹変し、毒となって彼を殺すことになる。

★卑小な征服者
「セコンド志願のやつはいっぱいいる」と言いながら、マルコを重用しつづけるヒガンテマン。
ここに彼の征服欲と愛玩欲が見て取れる。そしてマルコは罰として残飯を食べ続けた結果、お腹を下してしまう。
自分より小さいものを好んで支配下に置き、知らず知らず傷つけてしまうヒガンテマン。
それがゆえにベンキマンがマルコの救いになってしまう展開は、どこか悲しげなものがある。

そして彼の極めて資本主義的な発想は、ペルーの文化を征服されるべきものとしか見做せない。
「子供」を対置することで「大人」であろうとするヒガンテマンの卑小さ。
結局これが原因でベンキマンに敗北を喫することになってしまう。

★逆転
こうして、文字通り上下逆転の「エラードスピン」によって流血の火ぶたが切られ、2人の超人の名前の意味は同時に反転する。
大巨人・ヒガンテマンは小さいアリダンゴになり、エラードマンは一切の甘さを捨て相手を殺しにかかる。

そして、仮初めの愛国ヒーローであったヒガンテマンは消滅し、逆にエラードマン改めベンキマンが真の愛国ヒーローとして君臨する。
ヒガンテマンの事業的な愛国アピールとは違う、本物の情熱をもった指導者の出現。
インカの栄光に沸く民衆はどこか狂気を帯びているようにも見える。

★苦い勝利
ベンキマンはそれまで地味な、しかし卓越した寝技により勝利をおさめてきた。
それゆえに殺生とは無縁であり、相手がギブアップするか気絶することで決着がつく。
だが、「恐怖のベンキ流し」を思い出してしまったことで、彼は相手を殺すことを決着をせざるを得なくなってしまった。

ソフトクリームは「冷たく甘い」ものであり、ウンチは「熱く苦い」ものだ。
ベンキマンはその熱の代償として、闘いの苦く汚れた面に足を踏み入れることとなる。

★残虐超人・ベンキマン誕生
ヒガンテマンに勝利したエラードマン改めベンキマン。彼を讃えて投げ入れられたのはウンチであった。
「投げないでください! ウンコを投げないでください!」
実況の悲痛な叫びで物語は幕を閉じる。だが、観客の愛国の熱はもう止めることができない。
ウンコが撒き散らされたリングは、皮肉にもインカの清潔さとは真逆の、伝染病の流行したヨーロッパを思わせる。
ベンキマンが復活させたのはインカ帝国の栄光だったのか、それともそれを終わらせた死と流血であったのか。
それを知る者は、もはや誰ひとりいない。
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