ショーコの「みんな同じ」のグロテスクさ

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革命機ヴァルヴレイヴ第21話「嘘の代償」でのショーコの行動が大変な物議を醸している。
以下の私の考察が的を射ているかはわからないが、ひとつの解釈として参考にしてもらいたい。

ショーコは「嘘つき 信じてたのに」とハルトに吐き捨て、ARUS(すでにドルシアとの連合だが)にハルトを売り渡す決意をする。
このシーンが一部の視聴者に不興を買い、またそれに対する擁護も激しくなされ、荒れてしまっているというわけだ。

以下に私のこのシーンの解釈を述べる。
まず、ここでショーコがハルトが仲間を裏切ったと考えた、とするのは早計である。
ショーコは一体ハルトの何を「信じて」いたのか? これは過去の描写からある程度推測が可能だ。

地球からモジュール77に帰ってきたハルトにショーコは、「あの時と同じように守ってくれた」と喜ぶ。
一見ほほえましいシーンだが、ここでショーコはかなりえげつない要求をハルトにつきつけているとも見ることができる。
すなわち、「未来永劫、同じハルトでいてほしい、変わらないでほしい」という滅茶苦茶な束縛である。
この「同じ」のイデオロギーが、ショーコというキャラクターの根幹をなす特徴である。
そして状況が緊迫するほど、ショーコのハルトの「同じ」への執着は強まっていく。

ショーコは一貫してハルトに「同じ」を見出し、それを心の支えにしてきた。
あのときと同じハルト、あのときと同じ優しさ、あのときと同じ距離…。
だからこそあれほど積極的なショーコが、自分からハルトに思いを伝えて変化を起こすができなかったのである。
しかし、ハルトがいくら昔と同じ心と優しさを備えていても、肉体の変化という絶対的な現実がある。
ハルトが変化してしまったこと、それ自体がショーコにとっては裏切りであり嘘であった。

そして、親の意志を継ぐことを決意したショーコと、親の野望を破滅させることを決意したハルトでは、まったく立場が逆なのである。
ショーコが選挙の時に掲げた公約は、「文化祭をやろう。」
異常な状況下でいままで同じ咲森学園を体現しようとするのは、この「同じ」の思想からくるものではなかったか?
実際には、咲森学園という体制そのものが、ハルトやショーコの親たちが作り上げた虚構であった。
望むと望まざるにかかわらず世界を変革する存在であるハルトは、言ってみればショーコの宿敵ではなかったか。

その結果、国民たる咲森学園の生徒は指南ショーコを総理として選ぶわけである。
しかし、生徒たちは本当にショーコの公約に同調して票を入れたのであろうか?
生徒たちも当然、ショーコが前総理の娘であることは知っている。
とても国とはいえない吹けば飛ぶような脆弱な土地で、ジオールがジオールたるために権威を求めたのではないか。
真実は知りようがないが、結果としては「同じ」苗字の人間が総理として立つことになった。

そもそもの話、なぜモジュール77には日本名の住民しかいないのか?という話でもある。
宇宙である以上、本来少しくらいは外国名の住民がいてもいいはずだ。
(エルエルフたちが潜入する際も日本名の偽名を用いている。)
つまり、咲森学園という嘘を支えているのは、「みんな同じ」という結束感であり、「和」の精神だ。
古くはキリシタン弾圧、現在も根強くのこる同和問題など、「和」の国の闇の部分が今回の内ゲバの根底にあると考えてもよいだろう。

そしてショーコはそれを守り維持する立場の人間だ。
ショーコはハルトに何らかの事情があることは察している。しかし、それを承知の上で、「どんな事情があろうと共同体の利益のために異端者を犠牲にする」と言っているのだ。
すでにハルトは「同じ」ではない、だから「みんな」のために殺す、そう言っているのだ。
それがショーコなりの総理大臣としての「みんなを守る義務」の果たし方であった。

ハルトとショーコの対立は、半分は運命であり、もう半分は宿命である。
おそらく物語の最初にドルシアが襲来しなくとも、遅かれ早かれ二人の関係は崩壊していただろう。
だが、その表出の時がこの異常事態であったことで、この潜在的な確執は最悪の結果をもたらしてしまった。

ただ、ショーコの事情と状況を鑑みても、この判断はやはり適切とは言い難い。
ハルトを売り渡すにしても、それによる生命の保証が得られなければ意味がない。
ショーコは、父の死によって、どこかで「大切な人を犠牲にすれば、皆助かる」という錯覚に陥っていたのではないか。
「ハルトを信じない」ことと、「ARUSの言うことを信じる」ことは、本来はまったく別のことだ。
しかし、ショーコはこの錯覚、外部的ヒロイズムによって、助かると信じ込んでしまった。
ショーコは煽動者としては優秀であっても、政治家としては有能とは言い難いのは確かだろう。

事の発端の会談からして、ショーコはここまで活動する必要はなかった。
極端にいえば、ショーコは何もする必要なかったし、何もしてはいけなかった。
ただ国の顔として立っていること。それがこの非常事態において、何よりの仕事であり、「国民」の支えであったはずだ。
だがショーコは、以前のジオールと「同じ」ように(そう、またしても)政治家の仕事を全うしようと動きすぎた。
父と「同じ」ように総理の責務を果たす…ショーコはその義務感があまりにも強すぎたのだ。

優しすぎるハルトはショーコのブレーキたりえない。やはりエルエルフこそが、ショーコのストッパーとしては適任だろう。
エルエルフがショーコに心を惹かれるシーンはこれまでにけっこうあったりする。もしかするとカップルになることもあるかもしれない。
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